歴史の視座 ナショナリズムと冷戦の歴史―現代史から学ぶ政治学入門 第一回

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「歴史の視座」は教養科目のうち,主題別科目と呼ばれる題目。1年生はかならず2単位を取る必要がある。

syllabus01.academic.hokudai.ac.jp

Safunnyは「歴史の視座」のみ取っていなかったので,4年生になって履修することとなった。

今年は全授業がオンラインとなっているため,1年生と顔を合わせずに済み安堵している。

 

本講義を担当する先生は,北大で法学研究科に所属する権左先生

lex.juris.hokudai.ac.jp

 

 

以下講義内容の板書を載せる。

 

1. 大学

大学とは義務教育のように学びを得るだけの場所ではないはず。真理の探究と研究成果の伝達,この2つが軸となって大学は存在している。J.S.ミルは『大学教育について』において,大学は職業教育の場所であると提言している。この考え方で,現在の大学は成り立っていないのが実情。

ミル残念www

 

2. 社会科学とは何か

E.H.カー『歴史とは何か』(1961)において,社会科学=歴史科学であるとされている。ここで言う, 科学とは以下の手順を取る。

①仮説を立てる ②実験を行う ③一般法則を発見する

そして科学と歴史が融合されるには

①現実認識=「現にある」こと (行為の当事者と眺める観察者は異なる)

②事実の解釈(この段階で願望と価値判断が入り込む)

M. ウェーバー 『社会科学と社会政策の認識の客観性』(1904)によると, このステップに対してとある条件が発生すると考えている。

客観的認識に必要な条件とは以下の2つ

  1. 価値自由...現にある事実とあるべき価値の区別を行うべし。現にある事実からあるべき態度を導き出す態度,これを自然主義的態度と呼ぶが,これをウェーバーは否定している。

ROLAがガリガリ君を食べているから, 僕もガリガリ君を食べるべきだ。

というのは自然主義的な態度であり,科学としては認められない考え方である,という話だ。(昨今のCMや広告は,自然主義的態度を助長する形が多い)

歴史家には事象そのものを見つめる態度が求められる。

③事実の束から一般法則を導き出す。これを一般化と呼ぶ。

歴史は現在と過去との対話を行うものだ」とウェーバーは唱えていた。過去の法則から現在への応用を行うことが歴史の科学の真骨頂なのであると。

 

3. 政治学は科学として生きていけるのか

政治学は現実社会からの偏見を帯びている。

現実に還元されるのが政治学だという考えから, 官民融合型の会議なども増えている。

K. マンハイム『イデオロギーとユートピア』(1929)によれば,政治学=現実科学という考え方には限界があるのではとされている。

 ①政治には非合理的活動としての余地がある。政治には当事者の視点があるため,認識は非合理的になる。 つまり,行政では合理的な処理をこなすことが求められるのに対して,政治では非合理的な処理を担わざるを得ない。

②政治認識に発生する2つの制約

 1. 社会的制約(自身が所属する社会階層)2. 歴史的制約(時々の支配的思想)

これをマンハイムは「思考の存在拘束性」と呼んでいる。

マンハイムは以上の事実から,歴史が科学として存在できうる条件を以下のように提示した。

政治学が科学となるためには,当事者としての自分自身から距離を取ることが求められる。これをマンハイムは距離化と呼ぶ。

ゲーテに寄れば,「行為する者は常に良心的でない。観察する者だけが良心(conscience)を持つ。」としている。観察者にも一時代を生きる当事者としての視点が含まれているため,そこから一度離れて自身の視点を観察する。そして他者の視点も同様に観察することで,観察者としての立場が取られる。

Safunny的には,この考え方は現象学や心理学でも十分に取り入れられている手法であり,あらゆる学問において「距離化」というのは科学として重要なアプローチであると考えられる。

 

4. 現実科学としての政治学

1~3において議論された内容からまとめると,

 ⅰ. 歴史の中で現在を把握し位置づける必要がある。

これには歴史家としての態度が求められる。

 ⅱ. 権力から独立して科学の自律性を保つ必要がある。

爆弾を軍の為に開発するのは科学ではない。国や特定企業のために, 主張を忖度したり,研究を安易に行うことは科学ではない。=事実をゆがめる可能性がある。

現在の課題に取り組むためには以下を用いる。

 ⅰ. 海図 : 今置かれている位置や進路を確認する=過去の歴史を参照する

 ⅱ. 羅針盤 :  今後の目標地点や方向を教える=過去の思想を参照する

過去の歴史,思想を参照して,歴史全体を見渡し方向づけていく。

 

コロナウイルスが蔓延し, 世界は金融危機の方向へ動いているいま。中国はアフリカ大陸への関与を強め,アメリカは過去に有するネットワーク力を発揮できずにいる。

 

本授業では20世紀の冷戦およびナショナリズムを学び, safunny的には現代との類似性なども発見していくことが期待される。

 

Safunny.

 

 

 

 

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